
まず驚かされるのは、作者がこの作品(処女作)を書いた年齢です。25歳だそうです。作中には3〜40台の男女に関する内容や、子を持つ親の気持ちが丁寧に描かれています。
二つの話が5ページずつくらいに交互に書かれています。一方は連続幼女殺人事件の犯人捜しに
きゅうきゅうとしている、警視庁のキャリア捜査一課長の苦悩についてです。もう一方は、娘を亡くして
自暴自棄になっている男が宗教集団にのめり込んでいって破滅への道を辿るというものです。
それぞれの話は後半になるに従って重くなります。読んでいてもかなりえげつない内容もあります。しかし、著者の念密な取材と筆致によりページはすいすい進みます。章立てが細かので読む際にそれがアクセントとなり飽きません。
最後は2つのストーリーの時系列がつなぎ合わされ、文字とおり「慟哭」のラストを迎えます。世の中の暗い部分で家族との愛情や、世間のしがらみの中でもがいていた主人公(敢えて二人)がすべてを吐露しますが、読んでいて浮かんでくる映像的には鈍重な雰囲気が漂います。
なにしろ、世相を切り込んでいく知的好奇心を刺激される様々な場面があるのと、結構難解な漢字での描写があるので読後は色々考えさせられます。「自分には誰も見方がいない」という主人公
の台詞がもっとも心に焼きつきました。
何を礎に人は生を全うしていくのかに思いを巡らせていました。




