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いへいたのラーメンブログ

けっこう更新してます。

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 いやぁ、これは面白かったです。前作が期待はずれでしたので500ページ弱の長編でしたが引き込まれました。章の区切りが多く、読みやすいということもありますが。

 4つの異なるストーリーが軸となり同時展開し、そこにひとつの小さな話が食い込んできます。ラストのこの画商の話が痛快です。リストラされたさえない中年男が人生の勝ち組、権力の権化のような画商の男から逆転サヨナラ満塁ホームランを放ちます。豊田という名のこの男がつぶやいた「ラッシュライフ、豊潤な人生」という言葉の余韻がたまらなくいいです。

 他には泥棒を生業とする男の数奇な出会いや、浮気相手にまんまと騙される人妻カウンセラー、新興宗教にはまり込んでいき、この作品内で唯一の殺人を犯してしまう青年らの3つのストーリーが語られるのですが、それぞれが骨太で魅力的です。

 特に空き巣泥棒の黒澤が渋井です。他にも3つの話の中には核となる人物が描かれていますが、その誰もかリアリティがあります。そして、一見無関係そうに見えるこれらの話がお約束というか期待通りにラストに向けて束ねられていきます。

 話のつながり部分を担う作中のキーワードは「拳銃」「バラバラ死体」「自殺した父親」などなのですが、豊田の連れていた捨て犬が最高にいい味を出しています。

 伊坂幸太郎、やはり旨いですね。唸らされました。さすが。呼んでいてほくそ笑まさせてくれます。巻末解説にある評者の言葉を借りれば「エレガントな前衛」だそうです。
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